こんにちは。防災チームのディザスクです。
今回のテーマは努力義務化となっている保育園や認定こども園の業務継続計画の書き方や記入例についてです。

どんな書き方をしたらいいのか?どこまで書いたらいいのか?
気になっている保育関係者が多いようです。

策定の目的と代表者のコミットメント

業務継続計画の様式を眺めると、リスクの想定の次に記入するようになっているのが「策定の目的(基本方針)」です。

策定の目的は、

  • 園児と職員の命を守ることを最優先とすること
  • 社会的インフラであることを認識すること
  • 地域や保護者と連携し業務を継続すること

など重要な要素を踏まえた上で、法人や施設としての理念や経営方針に沿った形でまとめると良いでしょう。

というのは、BCPはそもそも経営計画の一部であり、法人や施設としてのコミットメントがスタートだからです。

義務化というタイミングで仕方なく取り掛かりはじめた・・・そんな保育関係者も多いかと思いますが、まずは法人代表者や理事長先生が重要性を認識し、園全体にその意義を浸透させることが重要です。

なので書き方の例としては、

「策定の目的」の記入例

こどもと職員の命と安全を最優先に、地域のインフラとして重要な役割とその責任を果たすため、業務の継続と早期復旧を図る。

こんなところでしょうか。

さて、このように考えて「リスクの想定」や「組織体制」・・・なども他の園の記入例を参考に埋めていくと、どんなことが起こると思いますか?

記入例を当てにすると守れなくなるものとは?

他の園のBCP記入例を見ると、なんとなく「当園でも同じでいいかな」と、そんな気になってくると思います。

しかし、ここで立ち止まって考えていただきたいのですが、

違う場所違う環境違う人数違う年齢の園児を抱える保育園の業務継続計画が、果たして同じでいいということがあるでしょうか?

さらに言えば世の中にある業務継続計画は、ほとんどが深掘りされておらず、命を守れる業務継続計画になっていない、という現実があります。

例えば、職員全員にアンケートを取ってから、BCPの検討に入っている園がどれほどあるでしょうか?

保護者さんのお住まいや仕事、プライベートの事情を考慮してから検討している園がどれほどあるでしょうか?

このあたりの前提に目をつぶって、書類を前に「記入例」を参考にしながらBCPを作ったら・・・おそらく

命を守ることはできないBCPになります。

正常性バイアスに捕まったら終わり

人は「正常性バイアス」という偏ったメガネをかけて生活しています。
つまりネガティブなことは小さく、ポジティブなことは大きく見るように脳がフィルター調整しているわけです。

記入例を見ると、たしかに、そのように対策ができて、そのように行動ができる、と思ってしまいがちです。

しかしその想定は理想論であり、実際には園長先生が怪我をするかもしれないし、職員さんは亡くなっているかもしれないし、保護者も迎えに来ないかもしれないわけです。

そして、せっかく決めていたことを、そのとおりに行動できないのが人間です。


業務継続計画が努力義務化になったのは、あのとき命を守れなかった、理想論で作られた書類を作るためでしょうか?

東日本大震災で子どもたちに起こった悲劇を二度と繰り返さないためにも、命を守れる業務継続計画(BCP)を作っていただきたいと願っております。