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能登半島地震で被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

様々なニュースが入ってきますが、防災を伝えている立場の者として、悔しいというか残念な気持ちになります。
能登半島地震以前にも、国内では北海道胆振東部地震、熊本地震、そして東日本大震災と様々な苦難がありましたが、それを教訓として災害に対する準備が進んでいるかというと、なかなか難しいようです。

しかし少しずつでも、起きたことから学び、二度とそのような繰り返しをしないよう準備・対策することが重要です。

水や食料の不足

地震の影響で、被災地への物資輸送が滞り、食料や水の不足が発生しています。石川県によると、1月6日時点で、避難所には3万2,000人以上がおり、1日あたり3万食、5万本の水が必要とされています。しかし、実際には1日あたり2万食、3万本程度しか届いていない状況です。

元日ということで帰省中の方が多かったこと、羽田空港でのJAL機と海上保安庁機の事故の影響、ということもありますが、これを想定外で片付けてはいけません。

家が倒壊、半壊してしまい戻れない方は仕方がありませんが、各家庭、社会福祉施設、児童福祉施設、各企業で水と食料の確保をしておくことで、避難所での負担を軽減することができます。

今回の能登半島地震のような直下型の地震(活断層によるもの)は、日本全国、どこでも発生しうることですし、また南海トラフ巨大地震は40年以内に90%以上、特に2030年代に来るのではないかと言われています。

また南海トラフ巨大地震をはじめ首都直下地震など、人口が多い地域、インフラが集中する地域に関しては、被害が更に大きくなることが予想されます。

例えば南海トラフ巨大地震では、内閣府の想定によれば1週間で9600万食、食料が不足するそうです。

一般的に、備蓄は3日以上、と言われますが、私は1週間でも足りないと思っており、特に南海トラフ地震の影響地域や都市部では、可能であれば1ヶ月程度の備蓄を各家庭で用意していただきたいです。

水・食料の備蓄

  • 断水し、助けがこない状況でも、備蓄だけで生き残れる期間を決める
  • 決めた期間の備蓄を計画し、用意する。日常に溶け込ませたローリングストックでの備蓄が基本。
  • 備蓄が切れた後の生き残り戦略も考えておく

トイレや洗面所の不備

避難所では、トイレや洗面所の不備も問題となっています。地震で破損したトイレや洗面所は、使用できない状態になっています。また、トイレの数が足りず、長時間待たなければならないケースも少なくありません。

断水により、流すための生活用水がない、さらに排管が破損した場合には、流せない状態になります。

そのため小中学校など避難所のトイレは、床まで汚物が広がってしまったり、記事のようにゴミ袋に直接、用を足して捨てるような状況になります。

またトイレが汚いため、できるだけ我慢したり水を飲まないようにすることで、血栓ができやすくなり、肺塞栓、脳梗塞、心筋梗塞などの病気になりやすくなります。

災害に備えて、各家庭での簡易トイレの備蓄や、清潔なトイレの維持のための準備はとても重要です。

トイレの代替

  • 簡易トイレ(黒いゴミ袋と凝固剤)の備蓄。1人5~6回分✕家族の人数✕備蓄日数
  • 生活用水の代替手段を考えておく

例として、2週間分のトイレを家族4人分用意するとすると・・・

5回✕4人✕14日=280個

必要になります。

上記商品は私も購入したものですが、実際に使ってみると、ビニール袋が大きいために1回のゴミの量が相当なものになります。2週間で280個...災害時には、ゴミの回収も期待できないのでゴミ問題も合わせて考えておく必要があります。

1つのゴミ袋に複数回、使うようにするとか、袋はおむつ用の消臭袋を使うとか、工夫が必要かもしれません。

なお、企業や施設向けにはこのようなタイプもあります

医療や介護サービスの不足

避難者の中に、医療や介護を必要とする人も少なくありません。しかし、地震の影響で、医療や介護の体制が逼迫しています。

総合病院でも、給水塔が破損して給水車による補給がないと医療サービスが継続できないといった事態がありました。

救急医療が当然、逼迫するため、医療の不足分を補うためにも中規模の病院や小さなクリニックでの業務継続計画(BCP)、医療継続計画(MCP)を作成する必要性が増しています。

医療施設でのBCPが必須

  • 中小規模病院・クリニックでの業務継続計画(BCP/MCP)が必須
  • 事前対策として、インフラの代替(水、電気、ガス、医療ガス)や薬品等の備蓄計画
  • 地域との連携による医療サービスの継続

感染症の増加

物資が不足し、衛生状態が悪化するなかで、多くの人が集まる避難所では感染症の流行がしやすくなります。

石川県の避難所でインフルやコロナ感染者増加 | NHK | 令和6年能登半島地震

【NHK】石川県内の避難所でインフルエンザや新型コロナの感染者が増えていることが県の災害対策本部会議で報告され、馳知事は、避難環境…

熊本地震でも、災害関連死が直接死の4倍と非常に多かったのですが、やはり感染症の流行、動かないことによる生活不活発病、エコノミークラス症候群、ストレス、衛生状態の悪さなど、様々な状況によって病気になりやすく、それがきっかけで亡くなる方が増えてしまいます。

看護師、保健師の支援もそうですが、感染症を広げないため、健康不安がある方をゾーニングによって分離するなどの工夫も重要になります。

おそらく避難所だけでは対応できないため、既にBCPが義務化となっている福祉施設、その他の施設の協力も必要になっていくと思われます。

こども、高齢者のケア、その他の問題

その他にも、災害による強烈なストレスからPTSDになる子どもたちの精神的なケア、やはりショックを受けることで体調が悪化する高齢者、地域経済の悪化、様々な問題が続いていきます。

しかし、予め災害に対して正しい知識を得ること、向き合って準備することで、多くの人の命を守れることは間違いありません。

タスカルコンサルティングでは、地域イベント等で防災の講座を開催したり、企業や保育園などの施設向けに、BCP(事業継続計画/業務継続計画)の策定サポートを行っています。

近年、日本では地震だけでなく地球温暖化により風水害も激甚化しております。
日本の凋落を防ぐためにも、企業・施設による事業継続の戦略は必須といえます。この機会に、企業を守り、家族を守るための計画も経営計画の一つとしてご検討いただきたいと思います。

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