先日、学童保育所の職員向けに防災研修を行ったのですが、その時に作成した資料から改めて、

「日本ではどこでも大地震は起きる」

という恐ろしさを再認識しました。

令和6年1月1日に発生した能登半島地震。
各地で大きな被害が出ましたが、土地の隆起、西側への地点移動など地殻変動が起きています。
珠洲市では震度6強の揺れを観測しました。

しかし改めて防災科学技術研究所のJ-SHISマップで震源近くの珠洲市高屋町のある地点をみると、以下のように今後30年以内に震度6強以上となる確率は0.3%でした。

比較のため、私が住んでいる上尾市のある学童保育所付近のJ-SHISマップからのデータもみてみます

1%を切るような地域でも震度6~7クラスの地震が実際に起きる中で、関東地方南部ではかなりの高確率で大地震が予想されています。
つまり地震に対しての警戒心を持ち、しっかりとした準備ができていないと、本当にまずいと思うわけです。

10万年に1回の確率の意味

再現期間5万年相当の計測震度 防災科学技術研究所J-SHIS Mapより
https://www.j-shis.bosai.go.jp/map/

海溝型地震は、日本をとりまく4つのプレートが年々動くことによって発生するため、比較的予想がしやすいといわれています。

海溝型地震でつぎに予想されているのは南海トラフ巨大地震で、これは歴史的には約100年周期で発生し、さらに3回に1度、東西の連動型で甚大な被害をもたらしています。

能登半島地震のように、断層型の地震は予想がほぼできません。
地盤の組成等と統計的処理によって予測を行っていますが、今回の能登半島地震、熊本地震など、確率的には高くない地域で、巨大な地震が起きてしまっています。

例えば10万年に1度、震度6強を超える地震がある地域を図示すると、日本全国が真っ赤に塗りつぶされてしまいます。
上の図は、J-SHISマップで再現期間5万年の計測震度を図示したものです。

つまり日本に住んでいる限り、どこでも大地震に見舞われるリスクがあるわけです。
以下の説明がわかりやすいでしょう。

10万年に1回の頻度の地震でも、そのような地震が1万個あれば、10年に1回は日本周辺のどこかで発生するということに注意が必要です。 例えば、過去約200年間に発生した内陸の被害地震(死者50人以上)は23回知られており、発生頻度は約10年に1回となっています。

https://www.j-shis.bosai.go.jp/map/JSHIS2/man/man_avghazard.html

地震の対策と心構え

今まで震度3以上の地震を経験したことのない地域の方でも、突然に巨大地震に見舞われる恐れがあります。
そのために、どのように備えたらよいのでしょうか?

様々な考え方があると思いますが、私としては以下の3つを意識していただきたいと思います。

1 正しい知識

まずは災害に対する正しい知識を持つことです。

震度6を超える地震というものが、どのくらい恐ろしいものなのか。どんなことが起こりうるのか?
予め知識として知っておくことがスタートです。

いま、大きな地震が起きて被災地の方々がどんなことで困っているのか。
困りごとはどんなフェーズで移り変わるのか。

イメージができて、初めて生き残り戦略として必要な準備が見えてきます。

2 備え

備えは大きく2つあり、一つは安全環境。2つめは備蓄です。

直下型の地震が発生した際、ほとんどの場合は安全な場所にいるかどうかで、運命は決まります。
逃げる時間がないからです。

つまり危険なものをできるだけ置かないようにしたり、家具を固定することで、危険は減らすことができます。

可能なら家の耐震化をしていただきたいです。不可能であれば、普段いる場所に、屋根が落ちてきても命だけは助かるように、シェルターのようなもので守る工夫も考えてみましょう。

木造2階建ての場合、1階がつぶれて2階部分がそのまま落ちてきている写真をよく見ます。
2階の部屋が多く、1階はリビングや駐車場(ピロティなど)で広くとっている構造は特に注意が必要かと思います。

地震の瞬間を生き延びたら、今度は重要になるのが備蓄です。

家が危険でなければ、避難所に行く必要はありません。
避難所に行けば、水や食べ物、スペースなど、本当に必要としている人のぶんも奪ってしまうことになりますので、十分な量の備蓄をしておくことで、自分や家族だけでなく、他の人の命も守ることにつながります。

3 日常化

3つめは防災の日常化です。
人には正常性バイアスというものがあり、来るかどうかわからない災害について、日々考え続けることはできません。

日常化するためには、習慣化が大事です。

私自身は習慣化が非常に苦手ですが、比較的簡単にできる方法として、

  • 安全環境づくりは、思い立った時に一気に対策すること。
  • 備蓄品は、普段使用するものをローリングストックすること。

がよいかと思います。

人は、普段と同じ行動をとるほうが楽なので、家具の固定などの安全環境作りは、後回しになりがちです。
しかし、不安を感じた時、必要を感じてモチベーションが上がっているときに(つまり、「今」でしょうか)、対策をすると、進みます。

また備蓄はローリングストックがおすすめです。
つまり、普段使用する水、食べ物、衛生用品などは、決めた期間分を余分に買っておき、ストックしておくことです。

主婦の方は毎日買い物に行くわけではないと思います。2~3日とか、1週間分などまとめて買い物をする方は、その延長がローリングストックです。

私自身がそうだったように、防災について学び、リテラシーを深めて、まずは家族のために対策する。
そして自分が所属する企業や施設でも、対策を行っていくことが、日本の未来を守るためにとても重要です。

この記事を読んだ方が、一歩でも来る災害にむけて準備をしていただけたらと願っております。

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