近年、送迎バスへの園児の置き去り事件や、熱中症等による死亡事故が保育園や幼稚園の現場で起きています。
そのような日常起こりうる事故に関しては義務化となった安全計画とそれに付随する安全マニュアルに規定されていると思います。

しかし滅多に起きないが、起きてしまうと影響の大きい自然災害に関しては、保育士さんや職員さんの知識やスキル不足のために、中々現実的な対策ができていないと感じます。

ここでは「安心してこどもを預けられる保育園にするための方法」として、業務継続計画について考えてみます。

自然災害や緊急事態に備えて保育園の安全を確保するためには、単なる「業務継続計画」の枠組みにとどまるのではなく、より深く考え、実践することが不可欠です。この記事では、「業務継続計画」の様式に囚われず、園児の命を守る本格的な対策を講じるための具体的な方法を詳しくご紹介します。

従来の枠組みに囚われない対策の重要性

「業務継続計画」の枠組みに、とにかく上から順番に記入していく・・・そんな書き方をしていませんか?
また、他の保育園の記入例を見ながら、自施設に合わせてアレンジしていく・・・。

一部分だけであれば、その方法もアリかもしれませんが、基本的姿勢としてその方法は絶対にやめてください。

保育園の安全対策は、単なるフォームの記入だけでなく、現地の状況や特性を考慮し、柔軟かつ綿密な計画が求められます。従来のアプローチでは、想定外の事態に適切に対応できない可能性があります。

具体的な方法の例

  1. 緊急時の避難経路と場所の確認: 園内における避難経路と安全な避難場所を明確に定めるだけでなく、周辺の地理や地形も考慮して、緊急時の避難経路を最適化します。避難場所は安全かつ容易にアクセスできる場所を選定しましょう。
  2. 徹底した訓練とシミュレーション: 訓練とシミュレーションを定期的に実施し、保育士や関係者が緊急時に適切に行動できるようにします。避難訓練や災害シミュレーションを通じて、実際の状況に即した対応力を養います。
  3. コミュニケーションと連携: 地域の行政機関や関連団体との連携を強化し、災害時の情報共有や支援体制を確立します。地域全体で協力することで、迅速かつ効果的な対策が可能となります。
  4. リスク評価と改善: 定期的にリスク評価を実施し、保育園内の危険箇所を特定します。その上で、対策を練り、施設の改善を行います。安全対策は絶えず見直し、改善を重ねることが大切です。
  5. 心のケアと情報提供: 園児や保護者への心のケアを徹底し、災害時のストレスや不安を軽減します。また、保護者に対しては、保育園の安全対策について定期的な情報提供を行い、信頼関係を築きます。

その他、様々な状況を想定、イメージして検討を重ねる必要があります。

特に専門家の指導のないまま、防災リテラシーの薄い担当者が作成すると「正常生バイアス」によって「見た目だけしっかり作られている」けれど、使えない業務継続計画ができあがります。

まとめ

「業務継続計画」の枠組みだけでなく、緊急時に園児たちの安全を守るための総合的な対策が求められます。従来の方法や厚生労働省が用意している雛形だけにとらわれず、地域の特性や状況に即した具体的な対策を講じることで、安心して子どもたちを預けられる保育園を実現できるでしょう。緊急時の対応力を高め、未来ある子どもたちの安全を確保するために、積極的な取り組みをお勧めします。